誰も座ったことのない
2人がけのロッキングチェア
埃だらけの窓からの柔い光と、
僕の死体が、僕の帰りを出迎える。
僕の死体
今は首をつってるのもあるけれど・・・ミイラになってるのもあるけれど・・・
生きていたって、いつも、うつむいてる。
死体が、僕に話しかける。
「10年ぶりに、おかえりなさいませ・・・」
「恥多く、未だ、くたばりそこねております・・・・・・・」
【死んでろって言ったろ!】
僕の怒鳴り声。
「「「ガンッ!」」」
霊能力者の彼がドアを蹴破って入ってきた
『ここがアンタの家か、それでこいつが・・・アンタか』
【ええ・・・これが僕の・・・本体です】
「はい・・・私が本体です」
『なるほど、これじゃ祟り神にもなろうというミイラっぷりだ』
『ーーー本当に、手筈通りで、いいのか』
鋭い眼差しを僕に向けたのは
きっと心の底では反対してるからだろう
「【はい・・・お願いします】」
頷きながら
彼は暗黒の呪文を唱えた
『スパーダ』
パキンッ
突然、彼の足元の床材が、切り裂かれたように陥没したのは、
目には見えない魔界の騎士の大剣が彼の手の中に召喚され、
剣の切っ先を床にめり込ませたからだ
彼がスパーダを出したのは、
結界を破断するその能力を使用するため
僕らが今いるこの異界は、僕が自ら作り上げた精神空間 一種の結界の中と言っていい
ここを今から、空間ごと、スパーダの能力でぶった切ってもらう。
『やれやれ。スパーダでも切るのに苦労するくらい強固な結界だ』
この空間を僕が作り上げるに至ったのは、僕一人の呪いによるものではない
多くの人々の意志が複雑に絡み合い、この結界をイビツにかたどっている
僕はワケあって
輪廻転生のエラーによって、元いた現実世界に迷い込み、色々あって自殺することになった。
それによって起きた不整合を、ここに閉じ込めてある。
彼が「強固な結界」と言ったのには、そういう理由がある。
今ある死体は僕だけだが、ここに、生前の僕の知人の意識が流れ着いてもおかしくはないほど、重要で・・・
何より、辛気臭くて陰気な場所だ。
『ふん。どうも好かんね、思春期のグジュグジュをバッサリやっちまうってのは』
『でもまぁ、仕事は仕事・・・ってか』
彼はスパーダを水平に構えた
それを振るうと、この異界は横一文字に一刀両断されるだろう 僕の死体ごと
これは僕が完全に死に、生まれ変わるために頼んだこと
統一されていた心が崩壊することでしか決着のつかなかった、”どうしようもなさ”
僕らを僕らたらしめていたのは、皮肉にも不整合と矛盾そのものだった
僕が生まれ変わる時、僕の中にある多くの人もまた生まれ変わるのだろう
こうやって色々な結界や運命を切ってきた”彼”は転生について何か知ってるだろうか?
聞いておこうか
『スパーダ』
「あ、ちょっとま」
ーーーーーー横一文字ーーーーーーーー
(筆者注:横一文字とは、侍が使う剣技であり、敵の胴体を横に真っ二つにする技です。
余談ですが、八文字とは頭から股まで、上から下に真っ二つにする技です。)
「って・・・」
「あれ・・・どこだここ」
切断される 意識が吹っ飛ぶ
鏡が並ぶ場所に飛んだ 彼の姿はもうない
ここが「転生前」の空間だろうか
分断され尽くした僕のカラダ、細かいガラスの粒のようになった
ただ漂っている
この、あわせ鏡を覗き込んでほしいのは誰だろう
願わなくちゃいけない気がする
誰を、見たいのか
そう、願うことしかできない
【
そ
【】
【う】
は
ぁ
~~~~~~~~~~~~~~転生~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ハァッッ
ハァッッ
タッタッタッタッ
地面を蹴る脚があって、時々よかったと思うのは、
もしかして昔、死んだことがあるからかもしれない
急がなくちゃ
そうだった
僕・・・いや私は
『今、あの子を助けに・・・』
=============
『ゼーハー・・・・・・ゼーハー・・・・・・よ。お久しぶり。・・・・・・メロスです』
「きてんじゃ・・・・・ねえ・・・・・・」
「こいつは・・・あたしが・・・・・ぶっ・・・・殺す・・・・・・・・・・」
『おいおい。自分のナリみてからほざけよ、セリヌンティウスちゃん』
「・・・・・・・・・・・・・」
『・・・気絶した、白目むいてやんの』
『・・さて、そこの君!セリヌンティウスちゃんが弱くて退屈したでしょ?』
いっちょ私と踊ってくれませんかね』
『闘争の舞踏ってやつを』
・・・
みたいなwwwww
まさかの転生先は女の子でした。しかしもちろん強いです。
武器は生足。前世は脚なしの幽霊。
「こういうシーンをやりたい」 ってのはあるけど、話がまとまらねぇーっ
いや、いつかまとまるかも?”?”?
勉強サボった